【無料公開】MP運用の統一ルール「早急に作成」

日薬・山田常務理事、ブロック単位のシステム検討も

2024/4/22 17:40

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日薬・山田常務理事

 日本薬剤師会の山田卓郎常務理事は21日、石川県薬剤師会主催の能登半島地震報告会で、モバイルファーマシー(MP)の運用に関する統一ルールを早急に作成する考えを示した。また被災地での長期の運用に対応できるよう、所有する県薬だけでなく、近隣の都道府県やブロック単位で運用が可能になるシステムを検討する必要があると述べた。

 MPは1月7日から2月25日までの50日間、計13台が出動した。山田氏は、今回の震災では道路の寸断が多く、小さな避難所が多かったことから、臨時調剤所が開設されるまでの「つなぎ役」として複数台のMPが長期間活動することになったと説明。全国から応援があったが、スタッドレスタイヤがなく出動に時間がかかったことや、ドライバーに雪道の運転の経験がなかったことなど課題もあったとした。

 この経験を踏まえ山田氏は、運用に関する統一ルールを早急に作成する必要があると言及。作成に当たっては、「MPを所有する県薬と協議しながら進めたい」と述べた。またMPを所有する県薬だけでは長期間の運用が難しいため、より広い視野で運用体制を検討する必要があると指摘。「近隣の都道府県やブロック単位で、MPを長期間運用できるようなシステムや方法を考えていかなければいけない」と話した。

●山本会長、OTC薬含めた医薬品提供体制に課題意識

 山田氏の説明に先立ち挨拶した日薬の山本信夫会長は、自らが被災しながらも被災地の支援に当たった石川県薬関係者らに感謝を述べた。また全国から多くの薬剤師が支援に入ったことや、災害医療チームの中で薬剤師の重要性が認識されたことが「大変大きなことだった」と振り返った。一方、医療用医薬品とOTC医薬品を「どのようにうまくコンビネーションを組んで使っていくか」はこれまでの災害対応では深く考えられてこなかったとして、今後の課題だと指摘した。

●「現地リーダー」の重要性指摘も

 石川県薬担当者による被災地域での活動報告では、災害薬事コーディネーターなど、現地リーダーの必要性が指摘された。珠洲市担当の橋本昌子副会長は、地域ごとに刻々と状況が変化するため、県薬からも拠点ごとに調整役を置くことが重要だと述べた。原将充・能登北部支部長(穴水あおば薬局管理薬剤師)も、地域の行政や医療機関との連携、支援薬剤師へのフォローなど多くの役割が現地リーダーにはあるとし、平時から体制を整備をしておく必要があると訴えた。

 報告会は、元日の発災から3カ月経過したことを受けて石川県薬が企画。震災で得た教訓を広く伝えることを目的にオンラインで開催され、全国から500人以上が参加した。

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