日本薬剤師会の山本信夫会長は9日の会見で、厚生労働省が4日の「医薬品の販売制度に関する検討会」で示した処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売(零売)の規制案について、「過剰な規制内容だとは思っていない」との認識を示した。厚労省案では「原則かかりつけ薬局の対応」など、これまで零売の条件を規定していた局長通知に上乗せする要件も追加されたが、「今までの通知の内容とそれほど大きな差はない」と言及。一方、「どの程度の量を販売するか、また販売しないかというのは薬剤師の判断によるものであるべきで、そこは変えてほしくない」と述べた。
厚労省案は、2014年の医薬食品局長通知「薬局医薬品の取扱いについて」に沿って、全ての医療用医薬品の販売は「処方箋に基づく販売が基本」と整理。大規模災害時などの「正当な理由」を除き、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の薬局販売が認められる「やむを得ない場合」について、▽医師に処方され、服用している医療用医薬品が不測の事態で患者の手元になくなり、かつ診療を受けられない▽OTC薬で代用できない、もしくは代用可能なOTC薬が容易に入手できない―のいずれも満たす場合と提案。原則かかりつけ薬局の対応や、販売記録の作成、受診している医療機関への報告なども要件とした。
会見で山本氏は「薬剤師のやるべきことがごく当たり前に書かれているのであれば、われわれとしては反論するものではない」と述べた。一方、零売の要件を満たしていても売るべきではないと判断するケースもあるとし、「(さまざまな状況に応じて)判断をするのが薬剤師の役目」と強調。零売を専門とする薬局に対しては「(法令や通知に)書かれていないからやってもいいというのは、薬剤師ではない」と断じた。