
クオールホールディングス(HD)は15日、能登半島地震で被災し、自店舗の復旧の見通しが立っていないクオール能登町薬局(石川県能登町)について、指定避難所になっている町立松波中の一室で営業を再開したと発表した。12日から処方箋を応需。一包化にも対応しているという。
クオール能登町薬局は海岸近くにあり、地震だけでなく津波の被害も受けた。外壁には80センチもの波が押し寄せ、店内も30センチほど床上浸水。同町のある能登北部地域では断水が続いているため店舗内の清掃や消毒ができず、営業再開のめどは立っていない。
一方、同店舗近くの診療所は営業を再開。医師から「調剤できないか」と相談されたことから、行政側と調整を続けていた。
仮設店舗の立ち上げに向けて、被災を免れた機材や物品などを自店舗から搬入。調剤棚は衛生面に気を付けながら段ボールで代替した。自店舗から松波中まで約1キロ離れているが、営業を再開して以降、1日40~50枚の処方箋を受け付けているという。通常の調剤だけでなく、避難所の感染対策として、トイレなどの衛生管理にも取り組んでいる。
同HDは「いまだに制限のある中での運営だが、適切な医療の提供ができるよう関係者の皆さまと共に『医療の継続』に寄与していく」とコメントしている。