日本薬剤師会で災害対策を担う山田卓郎常務理事は24日、京都市内で開かれた日本災害医学会総会・学術集会のパネルディスカッションで講演した。被災薬局の「日常業務への支援」の必要性に言及。日常業務を支援しなければ、災害現場の指揮機能をつくるために必要な現地の薬剤師を確保できないと述べた。
山田氏は災害対応について、情報を収集・評価した上で、いつ、どこで、どのような支援がどれだけ必要かを決定し、関係団体などに支援を要請して、現場の支援活動に結び付けると指摘。こうした決定をしていく「現地の指揮機能」の中でも、▽情報収集▽支援の要請に向けた連絡調整▽救護所・避難所の支援活動―の部分には「現地薬剤師の関与が望ましい」と話した。
一方で、「被害の大小にかかわらず、被災地の薬剤師はなかなか(現地での支援)活動に参加できない」と現状を解説。被害が大きい場合は、失った薬局機能の回復が必要になり、「忘れがちなのは被害が小さい場合。その場合、日常業務は残る」ためだ。支援に必要な現地の指揮機能をつくり上げるためにも、被災薬局の日常業務を支援することが必要だと述べた。
災害薬事コーディネーターの重要性も語った。主な役割として、▽医療資源と薬事情報などを把握してマッチングする▽関連する薬事情報を一元管理・解析する▽必要な場所に薬剤師と医薬品を配備して情報提供する▽支援の受け入れ体制を整備・調整する―ことを挙げた上で、それ以外のさまざまな調整・連携業務も行う必要があるとした。
モバイルファーマシー(MP)にも触れた。能登半島地震への支援で「これだけの台数のMPが出動したのは初めての経験」とした上で、雪道・悪路への対応、運用する人員の長期間の確保など「今回いろいろな課題が出た。今後の教訓とし、薬剤師会として支援を続ける」と述べた。