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【動画ニュース】街角から始まる“ユースフレンドリー”薬局

京都・京丹後でも、弥栄ゆう薬局の吉松氏

2023/7/18 04:50

 薬剤師によるSRHR(性と生殖に関する健康と権利)の考え方の普及を目指す一般社団法人「SRHR pharmacy PROject」が、若者が気軽に自分の体や性について相談できる薬局「ユースフレンドリーファーマシー」の浸透に取り組んでいる。都内で定期的にイベントを行っているほか、京都府京丹後市では地元の高校生たちが集う街角の一室で開催するなど、全国から同団体に参加している会員の「地元」に活動を広げている。

 「『プレコンセプションケア』とは、直訳すると『妊娠前の体調管理』のことですが…」。集まった高校生を前に弥栄ゆう薬局(京丹後市)の管理薬剤師・吉松友里氏(同PROject事務局メンバー)が解説する。3月に開いていたイベントを改めて取材しようと記者が訪れた5月。動画撮影のため、同じ場所でプレゼンを「再演」してもらおうとしたところ、たまたま集っていた高校生たちに急きょ「実演」してもらうことになった。

 女子生徒だけでなく男子生徒もいる。吉松氏はプレコンセプションケアについて「SRHRの観点から考えると、妊娠を希望する、しないにかかわらず全ての若い男女に必要な将来の自分自身の健康管理のこと」と続けた。発表後には質問しようと集まった生徒たちに囲まれ、関心に沿った内容を説明していた。

●まず高校生の集う場所で

 京丹後市は日本海に面する人口約5万1000人の自治体で、京都市から車で2時間ほどの場所にある。会場となったのは、京丹後市未来チャレンジ交流センター「roots」。何かチャレンジしたい高校生と、その分野に取り組む地域内外の大人たちをつなげ、「実際にやってみる」ことを支援している。壁にはこの場所を訪れた高校生たちの「やってみたい」カードがびっしりと貼られている。下校途中の道にあるため、放課後に立ち寄る生徒もいる。

 「できるだけ若い人たちにSRHRの考え方を届けたい」。性教育、緊急避妊薬について薬剤師の知識や経験を発信していくため、この地域で初めての「ユースフレンドリーファーマシー」を開く場所として「roots」を選んだ。

●将来的には店舗でも「全国のモデルケースに」

 吉松氏が勤める弥栄ゆう薬局は、京丹後市立弥栄病院の「門前」に位置する。地域住民に活用してもらう店舗を目指し、待合室や薬局前のスペースを地域の人たちに開放。写真展や野菜の即売会が開かれるほか、クレープの移動販売車も立ち寄るなど「開かれた薬局」を目指している。

 2キロほど離れた所には別の高校もある。吉松氏は「将来的には店舗にも、思春期の子どもたちが気軽に立ち寄れるようにしていきたい」。全国の他の薬局にも広がる「モデルケース」になるよう試行錯誤を続けていく。(動画・記事=折口 慎一郎)

※この記事は8月末まで無料公開します。

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