1日に発生した能登半島地震からの復旧対応で、医薬品を供給できる地域の範囲が着実に広がってきている。5日午後時点での医薬品卸関係者への取材を総合すると、発災後は道路の寸断により医薬品の供給が難しくなっていた能登半島北部の奥能登2市2町では、最後まで到達できなかった珠洲市でもメディパルホールディングス(HD)の子会社メディセオが4日中に現地入りした。5日にはアルフレッサHDのグループ会社の明祥も珠洲市に入っており、平時と比べて大幅に配送時間がかかるものの医薬品を届けることはできるようになったとみられる。
●8時間かかったケースも
奥能登2市2町への交通アクセス自体は可能なものの、場所によっては1日1回の配送しか難しいのが現状だ。陥没や隆起が生じている危険な道路状況に加え、車両の渋滞も生じている。迂回路などのルート選択を駆使しながら配送に8時間ほどかかった事例もあり、現地は円滑に医薬品を配送できる状況からは程遠いという。
さらに、緊急通行車両の指定を受けていても一般車両と同様に渋滞に巻き込まれている場合もあるとし、他の車両との兼ね合いはあるものの、道路を優先的に通行できるようにすることを求める声もあった。
●珠洲市も含め6コースを設定
明祥では、奥能登では珠洲市も含めて5日からは6つの配送コースを設定し、それぞれ1日1回は配送するルートを確立できたという。特に基幹病院がある輪島市や珠洲市については、石川県の要請も受けて医薬品の配送を行っている。道路状況については、七尾市までのアクセスは改善されているものの、5日時点では穴水町の付近では渋滞が発生している状況だ。発災後には1日以上かけて配送を行う場合もあったとしている。
東邦HDでは、輪島市、穴水町、能登町の1市2町の顧客については4日と5日の注文分は全て納品できたことを確認している。珠洲市の顧客については現時点で発注がないため訪問はしていない。奥能登の道路状況は改善しておらず、大渋滞の中で長時間をかけて配送を行っているという。【日刊薬業】