石川県は、地震で被災した能登北部・中部地区にある公立6病院の院外処方箋を、金沢市内の薬局で応需・調剤し、医薬品卸売業者を通じて各病院へ配送する取り組みを5日から開始した。同地区では被災により多くの薬局が処方箋を応需できない状態となっているため、これらの薬局が復旧するまでの「緊急的な措置」(県薬事衛生課)としている。
対象は、▽輪島病院(輪島市)▽珠洲市総合病院(珠洲市)▽穴水総合病院(穴水町)▽宇出津総合病院(能登町)▽能登総合病院(七尾市)▽富来病院(志賀町)―の公立6病院の院外処方箋。グランファルマ(金沢市)の「鞍月あおぞら薬局」が応需する。処方箋は病院からファクスで同薬局に送信。薬剤師が調剤し、電話などで服薬指導を行う。医薬品は医薬品卸が各病院に届ける。
県によると、特に被害が深刻な能登北部医療圏で処方箋を応需できる薬局は、4日時点で4店舗のみだった。9日正午時点でも、▽輪島市3店舗▽穴水町5店舗▽能登町5店舗▽珠洲市0店舗―の計13店舗にとどまる。県医療・薬局機能情報提供システムによると、同医療圏の薬局は計31店舗あり、半数以上の薬局が営業できない状態となっている。
県薬事衛生課の担当者は「被災地域の薬局が立ち上がるまでの緊急的な措置」と説明。能登中部医療圏(七尾市、羽咋市、志賀町、宝達志水町、中能登町)は営業店舗も増えつつあるが、「奥能登(北部)はいつ復旧するか見通せない」とし、今後、応需薬局を「あおぞら薬局鞍月店」以外の薬局に拡大する可能性もあるとした。