日本保険薬局協会(NPhA)は9日から、能登半島地震で被災した石川県に支援薬剤師を派遣し、石川県薬のサポートを行っている。現在輪島市で活動している岡村由紀子氏(NPhA災害対策・社会貢献委員会副委員長)が11日夜にじほうの取材に応じ、災害派遣医療チーム(DMAT)や現地の薬局、モバイルファーマシー(MP)と連携して医薬品の供給体制の整備に当たっていると説明。今後は、OTC薬で対処できる患者と処方薬が必要な患者を振り分ける役割を薬剤師が担える体制も整備していきたいと述べた。
岡村氏は8日に金沢市に入り、9日から輪島市で石川県薬のサポートに当たっている。業務内容は災害処方箋に関する対応のほか、医薬品の集積所や宿泊場所の確保など日々流動的で、今でも被災者への支援スキームが確立できていないという。
輪島市は能登北部の他の地域と比べて人口が多く、避難所も点在している。当初は100カ所以上あった避難所は徐々に統合されているが、それでも50~60カ所はあると推測される。全ての避難所を回りたいが、道路状況の悪さや人手不足で「3日間で6カ所しか回れていない」と話した。
医薬品の供給に関しては、DMATが作成した災害処方箋のチェックや、それを応需する近隣の薬局などのフォローも行っている。輪島市はもともと薬局が少なく院内処方が多いため、患者情報が取りにくいことが課題だという。
発災から10日以上が経過したが、「災害処方箋の内容を見る限りでは、急性期の薬だけでなく、慢性疾患の処方箋も増えてきた」と指摘。「今回はたまたま年末年始の時期だったので処方日数が長く、手持ちの薬もあったと思うが、それがそろそろなくなってきている」と言う。医薬品は潤沢ではないが、卸などの尽力もあって大きく不足している状況ではないとした。
10日からはMPが入り、県外からの他の支援薬剤師も増えてきたため、なるべく早期に薬剤師による支援スキームが確立することを期待する。その上で岡村氏は、「OTCでもっと貢献できるところがあると思っている」と言及。OTC薬と処方薬、どちらで対応するべきかという判断を薬剤師が担えればという考えを示した。引き続き県薬のサポートに徹しながら「薬剤師が公衆衛生まで見られるような体制を確保して活動していきたい」と述べた。
●常時2~3人を派遣
NPhAは長期的な支援を見据え、ローテーションを組んで常時2~3人を継続的に派遣する体制を整備。10日から会員企業に募集をかけ、現在、2月初旬までの派遣者を確保している。活動内容などは日本薬剤師会のスキームに準ずるとし、関係団体と強く連携しながら対応していく。(持丸 拓也)