石川県薬剤師会の中森慶滋会長が被災地での医薬品不足の解消を要望したことを受け、厚生労働省は18日、日本製薬団体連合会などに対し、限定出荷品について被災地へ優先的に供給するよう依頼する事務連絡を発出した。
●「解除」を厚労相に直談判
中森会長は18日、金沢市内を視察で訪れた武見敬三厚生労働相と県庁で対面し、被災地で医薬品が不足している状況を説明し、必要な医薬品を確保できるよう石川県内で特例的に医薬品の限定出荷を解除するような施策を講じるよう要望。武見厚労相はその場で適切に処理するよう厚労省職員に指示していた。
指示を受け、厚労省は日薬連と日本医薬品卸売業連合会、石川県薬業卸売協同組合に宛てて、「被災地から医療用医薬品の安定供給を懸念する指摘をいただいている」とした上で、限定出荷品について被災地からの求めに対応できるよう優先的な供給を行うことを要請した。
9日に石川県卸組合と卸連は連名で日薬連に対し同様の趣旨の要請を行っており、国が改めて徹底を求めた形だ。
石川県薬が県内の限定出荷の解除を要望したのに対し、厚労省が業界に依頼したのは限定出荷品の優先的な供給だった。
●「行政が一律に解除を求めるのは難しい」
事務連絡を所管する厚労省医政局医薬産業振興・医療情報企画課は19日、日刊薬業の取材に、「限定出荷は出荷量と需要に応じてメーカーが決めている話で行政が一律に解除を求めるのは難しい」と述べ、行政が出せるぎりぎりの表現だとして理解を求めた。
同課は事務連絡により、実質的に限定出荷解除に近い効果が表れることを期待しており、事務連絡を受けメーカー、卸がどのような対応を行うかが焦点となりそうだ。【日刊薬業】