三菱電機デジタルイノベーションが提供する次世代コミュニケーションサービス「AnyCOMPASS」。その中の1つであるクラウド版電子薬歴システムに、生成AIを活用した新機能が搭載された。AIが、服薬指導時の会話を基にSOAP形式の薬歴を即時に作成するだけでなく、過去の指導内容を学習して患者に合った服薬指導アドバイスをアシスト。多忙な薬局業務の質とスピードの両方を高いレベルで実現してくれるとして、現場での期待が高まっている。
●薬局の機能分化を繋ぐハブ的な役割を担う
三菱電機デジタルイノベーションの前身である三菱電機ITソリューションズは、電子薬歴システム「Melhis」などの製品が薬局薬剤師に高い評価を受けてきた。近年、対人業務の必要性が高まり、服薬指導支援サービスを強化する過程で「AnyCOMPASS」が生まれた。
「かかりつけ薬局や健康サポート薬局、地域連携薬局など、これからの薬局はそれぞれの特性に応じた機能分化が進んでいくと思います。地域医療において、薬局を含む各施設間での情報・データのスムーズなやり取りは不可欠となり、その基盤としてAnyCOMPASSは大きな役割を果たすと考えています」と、流通・ヘルスケア事業部の高野謙司氏は意義を強調する。
●AIで質の高い服薬指導とSOAP薬歴を実現
2025年1月末、「AnyCOMPASS」に東大発ヘルスケアAI ベンチャーのmediLabと共同開発したAIアシスタント機能を搭載しグレードアップした。新機能は、服薬指導を行う際に、薬剤師と患者の会話内容をもとにSOAP形式の薬歴が瞬時に完成する。しかし、単に会話だけをもとに薬歴が自動作成するわけではない。
特筆すべき機能がある。服薬指導中に患者に投げかけるフレーズ候補を画面上に表示する服薬指導アドバイス機能である。過去の指導内容を学習し、患者の属性や基本確認情報、処方内容から、患者に合った最適なヒアリング候補を表示するという。
こうした機能と同社独自のデータベースから必要な情報を引き出しながら服薬指導を行い、音声内容と統合したうえで、的確なヒアリング項目と漏れのない薬歴が作成される。
「服薬指導は、薬剤師さんの経験値よって指導内容も違ってくると思います。特に経験の浅い薬剤師さんでは、服薬指導で悩まれることも少なくありません。生成AI から服薬指導のアドバイスがあれば、要点を聞き洩らすことなく、自信をもって指導にあたれます。スタッフ間で業務レベルを標準化できれば、薬剤師・患者の双方にとってメリットがあるのではないでしょうか」(高野氏)。

●生成AIはDXを進める上で不可欠
AI機能を使用している薬局の評判も非常に高く、“高いレベルの内容が提案されていると感じた”、“薬剤師が拾ってほしい情報が記載されていた”などの感想が寄せられ、なかには、“8 分かかる薬歴が約5分で済むイメージ”という声もあり、多忙な現場にとって頼もしい存在となっている。
「薬局薬剤師を取り巻く環境は、ますます厳しい状況になります。薬剤師不足も叫ばれる中で、対面業務をさらに強化するためにはDX の推進が必須です。今後は、AI を活用して薬剤師でなければできない業務に専念してもらいたい」と高野氏は語る。
事業者に求められる各種ガイドラインに準拠し、レセコンやお薬手帳と連動できる「AnyCOMPASS」。今後、在庫管理や経営分析などのサービスを展開して、地域医療のコミュニケーションツールとして、さらにサポートしていくとしている。
(「調剤と情報」2025年5月号より転載)
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