| 相談者 32歳、女性。独身、一人暮らし。実家は同じ県内にあり、両親は健在。薬学部卒業後、新卒で現在の調剤薬局チェーンに入社。店舗異動を1回経験し、現在は2店舗目。薬剤師7年目。内科クリニック門前の調剤薬局に勤務し、処方鑑査、服薬指導、かかりつけ薬剤師としての対応に加え、後輩への簡単な指導も担当している。 |
相談者:調剤薬局で働いて7年目です。仕事には慣れてきましたし、職場の人間関係や待遇に大きな不満はありません。
ただ最近、同期や他の薬剤師の話を聞くと、在宅医療に取り組んでいる人、認定薬剤師を目指す人、管理薬剤師になった人、転職した人などがいます。
私も転職サイトをのぞいてみたり、認定薬剤師の研修会に参加したりしてみました。ただ、どれもどこかしっくりこなくて。今の職場を辞めたいわけではないのですが、このまま働き続けてよいのかも分かりません。
マナバズ:今の職場に大きな不満があるわけではなく、すぐに辞めたいわけでもない。一方で、周りが次の方向へ進んでいるように見えて、「自分はこのままでよいのか」と感じているのですね。
より深く理解するために、いくつか確認させてください。一つ目は、これまでの仕事で「薬剤師として関われてよかった」と感じた場面はありますか。二つ目は、これからあまり増やしたくない仕事や役割はありますか。三つ目は、転職サイトや研修会で、目にとまったり違和感を覚えたりしたことはありますか。
相談者:患者さんから「前より薬の飲み方の説明が分かりやすくなった」と言われたときは、少しうれしかったです。高齢の方やご家族に説明するときに、相手に合わせて伝え方を変えるのは、嫌いではありません。でも、店舗の数字を見たり、シフトを調整したりする仕事には、あまり気乗りしません。管理薬剤師になりたいかと聞かれたら、正直そこまでの気持ちはありません。
転職サイトでは、在宅に力を入れている薬局や、患者さんと継続的に関われそうな職場が、少し気になりました。でも、条件だけを見れば今の職場も悪くないので、辞めるほどなのかは分かりません。認定薬剤師の研修では、疾患の知識そのものよりも、患者さんへの説明や生活に合わせた支援の話が印象に残っています。
マナバズ:Aさんは、管理的な役割より、患者さんやご家族に関わり、薬を生活の中で使いやすくする支援に手応えを感じているのですね。今の迷いは、患者さんともう少し継続的に関われる仕事を、これからどう増やしていけるのかという点にあるように感じました。
相談者:今までは、キャリアを考えるなら、転職するとか、管理薬剤師になるとか、認定資格を取るとか、そういう選択肢で考えないといけない気がしていました。でも、どれも自分の中では少し違う感じがあったんです。
改めて考えてみると、私は患者さんとの関わりをもう少し増やしたいのかもしれません。患者さんやご家族に説明して、「それならできそうです」と言ってもらえたときの方が、自分の仕事をしているという実感がわきます。
ただ、今の職場でそれができるのかは、正直よく分かりません。かかりつけ薬剤師として対応する患者さんは少しずつ増えていますが、一人一人にじっくり関われる時間があるかというと、実際にはそうでもないんです。忙しい時間帯になると、結局は処方箋をさばくような感覚になってしまいます。
マナバズ:「処方箋をさばくような感覚になってしまう」とのこと。忙しい中でも、患者さんとの関わりを流れ作業のようにはしたくないのですね。
そのお気持ちを大切にしながら、日々のお仕事の中でできることを少し具体的に考えてみましょう。例えば、かかりつけの患者さんに「症状はその後どうですか」と一言尋ねて、服薬状況や生活上の困りごとを確認してみる。在宅に興味があるなら、先輩に相談して同行してみる。認定資格を考えるなら、患者さんへの説明や生活支援にどう生かせるかを基準に調べてみる。
まずは、こうしたことを、今のお仕事の中で確かめてみてはいかがでしょうか。そうした経験を重ねることで、自分がこれから何を大事にして働いていきたいのかという、お仕事の軸が見えてくるはずです。
●経営者・管理職へのアドバイス
業務に慣れ、職場にも大きな不満がない中堅薬剤師が、ある時期から今後のキャリアに迷い始める。Aさんのようなケースは、決して珍しいことではありません。日々の業務を担えるようになったからこそ、次に何を大事に働いていくべきかを考え始めるのです。
中堅になったスタッフに、「仕事を任せられるようになったから」と、管理薬剤師を打診したり、資格取得を勧めたりしたくなるものです。しかし、言われた当人は、自分の関心や手応えと組織から期待される役割との間にギャップを感じてしまいます。ですから、在宅への同行、後輩の指導、勉強会の担当など、今の職場の中で本人が自分の関心を確かめられる機会を用意してあげましょう。
最近は、ホウレンソウではなく、ザッソウ、つまり雑談と相談が大事だとも言われます。雑談の中で「最近、どんなことに手応えを感じているか」などと聞いてみてください。中堅薬剤師が自分なりの仕事の軸を見つけられるように支えることは、職場への定着だけでなく、患者さんへの関わりの質を高めることにもつながります。
●キャリアや働き方の悩みを募集します
本連載では、薬剤師の皆さまからのキャリアや働き方に関する悩み・ご相談を募集しています。「転職すべきか迷っている」「薬局長を打診されたけど不安」など、日々の現場で感じている迷いや違和感を相談窓口までお寄せください。
なお、すべてのご相談にご回答できないことをご了承ください。
頂いた内容は、個人が特定されない形に編集した上で、本連載で紹介することがあります。









