特集災害と闘う

【無料公開】輪島市の孤立地域へ、医薬品ドローン輸送

JUIDA、11日から2ルートに

2024/1/11 21:27
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輪島市で医薬品を輸送するドローン(JUIDA会員のエアロネクスト提供)

 能登半島地震で孤立した輪島市内の避難所に向け、ドローン関連企業でつくる日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は市の要請を受けて医薬品の輸送を行っている。11日からは新たな輸送ルートも始動し2ルートになった。同会によると、災害時にドローンを活用した被災地への物資輸送は国内で初めて。同会の嶋本学参与はじほうの取材に「電波状況も改善してきており、経験も蓄積してきた。当面の間継続し、新たな輸送ルートについても検討したい」と述べた。

 同会は4日に輪島市から要請を受けて現地入りし、ドローンによる行方不明者の捜索と被害状況の確認などを開始。孤立地域では医薬品が必要な場合、自衛隊員が徒歩で届けていたことを受け、8日から医薬品の輸送も担うことになった。

 ドローンの最大積載量は3キログラムで片道8キロメートル飛行可能。11日までに、市内中心部の輪島市文化会館から約3キロ離れた避難所の鵠巣小学校に計6回輸送した。11日からは新たなルートとして約8キロ離れた西保公民館にも輸送を開始。嶋本氏によると、避難所からの依頼を受けて、市役所内で調整するDMAT(災害派遣医療チーム)が市内の病院や薬局とも連携して医薬品を準備しており、主に医療用医薬品で持病の薬だという。依頼から輸送までにかかる時間は医薬品の準備状況によって変化するが「逐次輸送を行っており、『ドローン待ち』の状況にはなっていない」(嶋本氏)という。

 8日時点では周辺の電波状況が悪く、輸送中にドローンの現在位置が把握できない事態も発生し「不安だった」と嶋本氏は振り返る。しかし徐々に電波状況が改善している上、同じ目的地への複数回の輸送を行ったことにより経験も蓄積し、現在は「問題なく輸送が行えている」状況だという。輸送は当面の間継続する見込みと述べ、新たな輸送ルートや輪島市以外での活動についても「検討していきたい」と話した。(小泉 壮登)

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