能登半島地震を踏まえ厚生労働省は、災害時に医薬品医療機器等法や同法施行規則などで認められている一時的な対応を明確にした事務連絡を発出した。被災地では避難所やモバイルファーマシー(MP)でも調剤できることを改めて示している。事務連絡は「令和6年能登半島地震による災害に伴う医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等に係る取扱いについて」。1月2日付。
明確化したのは10項目。▽薬局が被災し、復旧見込みがある場合、一時的に近くの建物を仮設店舗とする▽管理薬剤師が被災地に派遣され、代行者を立てる場合の変更手続き省略▽一時的な営業時間の変更の届け出省略▽需給逼迫時の病院や診療所、地方公共団体の間での医薬品の融通―などで、これらは今回の震災でも一定条件下で認められる。
被災地での調剤については、「薬局以外の地方自治体の設置する避難所内の調剤所などで、薬剤師が販売・授与の目的で調剤しても差し支えない」とした。医薬局総務課によると、MPも該当する。
●処方箋医薬品の提供、「正当な理由」も整理
処方箋医薬品の取り扱いも整理している。一定条件下での能登半島地震による被災地の患者への提供は、「処方箋の交付を受けた者以外の者」に処方箋医薬品を販売・授与する「正当な理由」に該当すると明記。医師への受診や、医師から処方箋の交付を受けるのが難しい場合は、処方箋がなくても処方箋医薬品を販売・授与できる。
ただし、お薬手帳などを活用して「患者の服薬情報を確認するよう努めること」としている。実施可能な場所は限定されず、同課は「通知を踏まえた上で、状況に応じて判断してほしい」としている。